健生病院・健生クリニック

患者様の権利:健生病院 患者の権利章典(医療における基本的人権)

前文

 私たち、病・障がいをもつ者またその可能性をもつ者は、医療の場で人間の尊さが何よりも重んじられ、いかなる差別も受けることなく、良質で安全な医療を受ける権利を有しています。

 私たちの日常生活の場で憲法が定める基本的人権の実現が目指されているように、医療の場においてもまた基本的人権の実現が目指されています。医療という専門性の高い領域でも、患者の望み・願い・意思が尊重され、医学・医療のもたらす成果は患者のためにあるという原則が貫かれます。

 私たちは、「自分たちが望む医療とは何か?」について考えることから、次のことを学んできました。

  1. 医療は、医療行為を通して患者の生命・生活の質を最大限高めることを目的としていること。
  2. 医療が行われる過程で患者が人間として尊重されなければならないこと。
  3. 医療は、医療従事者の意思のみが優先されて行われるものでも、患者の望みのみが優先されて行われるものでもなく、相互に尊重しあい、深く関与しあう中で行われる共同の営みであること。

 私たちが医療の場で望み続けてきたものはまた、医療における患者の権利の基礎となります。

 人権に関わる知識や経験、そして医療の経験を深く問い直すことから、医療における患者の権利は姿をあらわしてきます。私たちは、ここに患者の権利章典を定め、この権利章典を守り発展させていくために、医療に参加し医療従事者と協同することを宣言します。


行政および医療機関が主体となって保障するべき権利

1.医療を受ける権利

 すべての人は差別されることなく良質な医療を受ける権利を有します。この権利が否定される場合、行政・病院がその回復に適切な手段を講じる必要があります。

2.安全な医療を受ける権利

 すべての患者は医療過誤のない安全な医療を受ける権利を有します。医療従事者は医療行為を相互に照合し、医療の安全を確保する持続的な努力をする必要があります。

3.継続、一貫した医療を受ける権利

 すべての患者は必要な治療が中断されることなく、入院医療と外来医療の、当該医療機関と他の医療・福祉施設との連携のもとで、継続・一貫した医療を受ける権利を有します。


患者―医療従事者の相互の努力で実を結ぶ権利

1.知る権利

(1) 知る権利
 すべての患者は自分が受ける医療に関する情報を、十分に、自分に適した方法で受ける権利を有します。ただし、重大な情報について知りたくないという明確な意思をもっている場合、知らずにいる権利も有します。この目的のため、自己に関わる情報――カルテ・検査データ・他の種々の記録すべて――の制限のない開示を求める権利を有します。
(2) 学習する権利
 すべての患者は健康・疾病に関する知識、また医療・福祉・社会保障制度について学習する権利を有します。

2.自己決定権

(1) 自由に意思決定する権利
 すべての患者は十分な情報を得た上で、自分自身の受ける医療について自由に決定する権利を有します。医療従事者の提案に対する同意のみではなく、同意を差し控えることを含みます。重大な医療上の決定を行うにあたって、患者が戸惑い自己決定ができない時も、冷静さを取り戻し自由な意思決定が可能になるように、医療従事者は粘り強く関わる必要があります。
(2) 人間らしい生を自由に選択する権利
 すべての患者は人間的な終末期ケアを受ける権利を有します。自己の意思に反した延命医療の反省に立ち、どのような生の終末を選択するかについて、本人の意思が最大限尊重されます。終末期のケアの内容は、本人・家族――本人が意思決定困難な状況にあるときは本人の意向を推測できる適切な代理人――と複数の医療従事者の十分な話し合いの中で選択されます
(3) 医療従事者・医療施設を自由に選択する権利
 すべての患者は病院・医療従事者を自由に選択する権利を有します。またいかなる治療段階においてもセカンド・オピニオン――他の医療従事者の意見――を求める権利を有します。

 医療従事者は患者の知る権利を最大限保障し、自由な意思決定が可能になるように努力する必要があります。


個人の価値の尊重と平等に関する権利

1.個人の生活背景・障がいに配慮された医療を受ける権利

  すべての個人は文化的、経済的また生活史上のちがいを有します。また身体・精神の障がいをもつこともあります。医療の場でそれらのちがいが尊重され、障がいをもつことでいかなる差別も受けることのない医療を受ける権利を有します。

2.プライバシーが守られる権利

 プライバシーが守られることは、個人の尊厳を保つための基本的な条件と考えられます。すべての患者は単に個人の情報がみだりに公にされないということにとどまらず、個人の情報の収集・利用目的の制限、保護・訂正を求める権利を有します。

3.苦情を述べる権利

 すべての患者は権利が侵害されたと感じるとき、苦情を述べる権利を有します。医療従事者は苦情を受け止め、権利が回復されたと感じられるように援助する必要があります。


権利章典の実現を監督する機関の設

 医療機関は、患者の権利擁護者として、病院外部の人々を含めた構成よりなる倫理委員会、患者の異議申し立てを受け止める患者相談室等を設置する必要があります。


附則

 患者の権利章典(基本的人権)は、人権・医療についての進歩を常に取り入れ、改訂され、豊にされていきます。


医療福祉生協のいのちの章典

 医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため、「医療福祉生協のいのちの章典」(いのちの章典)を策定しました。「いのちの章典」は、憲法をもとに人権が尊重される社会と社会保障の充実をめざす、私たちの権利と責任を明らかにしたものです。
 健生病院はこれらの理念に則って、患者様と医療従事者との互いの信頼関係に立つ医療づくりに努めています。

リンク:医療福祉生協のいのちの章典